2014年3月8日土曜日

オスカーを「獲る作品」と「獲るべき作品」

昨日、ジェーン・スーさんの番組にお邪魔して、このブログを紹介して頂いたところ、ものすごい勢いでアクセス数が増えました。今まで内輪の4人しか読んでいなかったため、かなり乱暴に使っていた表現等を訂正。問題発言気をつけないと。

さて、毎年オスカーシーズンになると、個人的に「これが獲ると良いな」と思う作品が沢山出てきます。アメリカの映画サイトとか情報誌とかでは、12月くらいからオスカー予想が盛んになってくるんだけど、たいていの予想にはwill win とshould win と言う二つの答えが載ります。will win は、「これが獲る」と言う作品。should win は「これが獲るべき」。主演女優賞で例えると、Will win: ケイト・ブランシェット、Should win: エイミー・アダムス、と言った具合に書かれます。

ところが、自分が「この人が獲るべきだし、獲るに違いない!」と思っている人がノミネートされないと、とたんにこの予想はwill にしてもshouldにしても真っ白になっちゃって誰に入れて良いか分からなくなる。私にとって、今回そういう状況だったのが、長編ドキュメンタリー部門でした。

結果的に受賞したのは「バックコーラスの女神たち」。でも、12月の段階で私が絶対的に信じていたのはサラ・ポーリー監督の STORIES WE TELL と言う作品でした。


女優であり、本作の監督であるポーリーが、自分の家族と出生の秘密について知るために、両親の歴史をひも解くと、思いもよらない事実に辿り着く。ノンフィクションとは思えないような物語はかなり衝撃的な展開をみせます。自分自身の話を、第三者的に淡々と追及する反面、彼女の目線は両親に対する愛に溢れていて、胸が熱くなります。

↓ 今調べたら、山形映画祭ってところで去年やったみたい。

http://www.yidff.jp/2013/ic/13ic12.html

数々の批評家協会賞を始め、ほとんどの主要ドキュメンタリー賞を総なめにしたこの作品が、何の間違いかアカデミー賞にノミネートされなかったことは、トム・ハンクスやエマ・トンプソンがノミネートされなかったことよりもサプライズ中のサプライズ。その時点でドキュメンタリー部門は、当てる自信がなくなりました。

アカデミー賞は、作品が良い、と言うだけでは勝ち取ることのできない賞です。誰が、どの時期に、どういうパターンで全米公開するか、誰がこの作品を作っているか、どのくらいの人たちが見ているか、すべての要素が揃った上で、作品が佳作だった時初めて、ノミネートされる最後の5本に残ることが出来、最終的に受賞することが出来るのです。今回この作品は、Roadside Attractions と言う会社が配給しましたが、オスカーにノミネートされるには弱かった。ワインスタインが配給してたら、ノミネートを逃すなんて失態はあり得なかっただろうと悔やまれます。

にしてもこの映画、日本の配給がついたって言う噂聞かないんだけど、誰か買ってくれないかな。

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