2018年1月24日水曜日

90回目はかなり楽しい

昨日のノミネーション発表は、近年まれにみる面白さだった。

なによりも、Phantom Thread!!!!!

ここまで組合の賞にことごとく無視されて、もはや主演男優賞すら危ないかもと思っていたところの6部門ノミネート。しかも監督は「スリービルボード」を押さえてのノミネートです。すごいすごすぎる。助演女優賞でレスリー・マンヴィルの名前が呼ばれたときに、もしや???と思ったものの、いやあほんとに来るとは思わなかった。まさかの監督賞。そして作品賞。一人で狂喜乱舞しましたよ。映画まだ見てないけどね。

今回は、生のダニエル・デイ=ルイスを見る最後のチャンスかも知れない本当に貴重な生放送です。もちろん会社は休みます。6部門ノミネートされた瞬間に決まったね。私は絶対休むよ。

昨日のノミネーションは、この個人的な満悦を除いても、本当に面白い結果になりました。一番大きいのは、監督賞が外れたことで作品賞のフロントランナーが何なのか、本当にわからなくなったこと。GGの結果やSAGの結果だけ見ると、「スリービルボード」が明らかに一歩リードだったけれど、監督賞にノミネートされずに作品賞を獲った作品は今までに本当に少ないのです。最近では「アルゴ」がそうだけど、その前になると「ドライビング・ミス・デイジー」まで私は思いつかない。ギレルモ・デル・トロの監督賞はかなり濃厚だと思われていて、13部門のぶっちぎり最多ノミネートやPGAの結果を考えると、どう考えても現時点では「シェイプオブウォーター」が頭一つリードする状態になっちゃったのよね。しかも、この二本は同じ配給会社なんですよ。一体どっち押すんだろ。こうなってくるとBAFTAの結果ががぜん意味を生んでくるわけで、珍しくBAFTAに注目です。実際の投票メンバーとかそういうことじゃなく、風を読む意味でBAFTAの結果はかなり重要になってくると思うので。私もこれから一か月、悩みに悩もうと思います。

そのほかにもいくつか興味深いノミネーションがあって、最初に興奮したのはMUDBOUNDの撮影賞。史上初の女性撮影監督ノミネートです。これは本当に良かったと思う。素晴らしいことです。この作品を編集した日本人、上綱麻子さんも喜んでいることでしょう。びっくりノミネートとしては、編集賞のI, Tonyaですね。リレハンメルを見てた世代ならだれもが覚えてる、トーニャ・ハーディングのナンシー・ケリガン殴打事件。加害者とされた彼女の半生を描く作品です。ハーディング、たぶんオスカーにも来るだろうな。彼女にとっても、ここでなんか救いがあってよかったよね。この作品はまだ見てないけど、脚本はとても面白かったです。早く見たい。それと、ケヴィン・スペイシーの代役でいきなり映画に出させられちゃったクリストファー・プラマーのノミネートも驚いたけど嬉しかった。88歳、堂々の最年長ノミニーです。いつまでも元気でいてほしい。Darkest Hour の健闘も結構びっくりしたけど、これでオールドマンは受賞しやすくなりましたね。そもそもする予定だけど。

というわけで、かなり楽しい今年のオスカー。主要な俳優部門は正直、SAGやGGと違う予想をするのが難しいけど、アプセットがあるとしたら主演女優か助演女優かなあ。オールドマンとロックウェルは固い気がする。今更ウィレム・デフォーはもう難しいと思うのよね。サリーはBAFTAで受賞の可能性はかなりあり得ると思うので、そこで受賞するとちょっと勢いづいてアプセットの可能性を感じるんだけど、なんか彼女、友達少なそうだし、マクドーマンドの人気を見ると、やっぱりマクドーマンドに行くのかしらね。つまんないけど。

いずれにしても、今までになく予想がつかない楽しい展開。これからの一か月、わくわくドキドキが止まりません。その先にあるのが、ダニエル・デイ=ルイスの最後の姿だと思うと、悲しくて立ち直れなくなりそうなので今はまだ考えないでおこう。

個人的にはレスリー・マンヴィルが興奮の頂点だった昨日のノミネーション、一番楽しい季節の到来です。今年もラジオでしゃべる予定。ちゃんと準備をしなくては。