2019年2月19日火曜日

作品賞は獲らずともーヨルゴス万歳

今年の8本の作品賞候補の中で一番楽しみにしていた「女王陛下のお気に入り」ようやく見てきました。去年の秋のエントリーにも書いたけど、「籠の中の乙女」以来ヨルゴスは私にとって、新作が出るたびわくわくする監督の一人。今回はいつもより「普通」の映画だと聞いていたけど、本当にいい意味で見やすく、予想以上の素晴らしい作品でした。大満足。とりあえず今まで見た6本の中ではぶっちぎりの1位。作品賞には賭けないけど、いや~、好きだわこの映画。

女優3人はそれぞれに素晴らしく、確かにオリビア・コールマンの演技はかなり印象的なものだったけど、正直彼女は主演というよりはアンサンブルの一人なので、本来は助演にノミネートされるべき。彼女を主演にするなら、レイチェルとエマも主演にしなくてはいけません。二人も本当に素晴らしかった。3人とも素晴らしすぎて、それ以外の何もかもが良すぎて、しかも終わり方はヨルゴスらしい余韻を残すもので、いや~、ほんとに久々に映画らしいいい映画を見た。衣装と美術は絶対これにします。つーかどのカテゴリーも、迷ったらこれに入れるわ。だって好きなんだもん。

これに関連して、一つだけ確信を持ったこと。それは、主演女優賞はもう何の迷いもなくグレン・クロースに入れるということ。オリビアの演技はかなりわかりやすくて素晴らしいと思ったけど、主演というところを考えると3人で1人くらいのもの。それに対してグレンは完全に主演で、押さえた演技で地味だけど、本当に体中から染み出る内面を目の演技一つで演じて、映画そのものを背負っているわけで、その重みが全然違う。だから私は何の迷いもなく、主演女優賞はグレンに入れます。ま、そうじゃなくてもグレンに入れてたんだけどさ。グレン、本当にこれで受賞してほしい。心の底から祈っております。

明日はアトロクで予想を話す予定だけど、正直全然固まってないので、各カテゴリーに3人ずつくらい候補がいるような予想になっちゃうかも。でもしょうがない。今年はかなりイレギュラーな年なので、半分当たれば上出来くらいの気持ちで頑張ります。あと5日間、悩みに悩んで最終ベットは当日の朝にツイッターで!

2019年2月3日日曜日

DGAの追い打ち

DGA(全米監督協会賞)が発表になりました。

本来DGAは、本戦で監督賞を誰が獲るかを占うのに参考にする賞なのですが、正直今回はそこに関しては何のヘルプにもならない結果で。というのも、ほかの賞も総なめにしてきたアルフォンソ・キュアロンが獲るだろうと99%の人が予想し、その通りになったので。もうこの項目に関しては、何も言うことがありません。

今日の結果で私が頭を抱えてしまったのは、長編ドキュメンタリー賞。なんと、オスカーにノミネートされていない、Three Identical Strangers の監督が受賞しちゃったのよ。ちなみに昨年12月18日付の当ブログ「順当すぎる外国語映画賞ショートリスト」の中で、私が予想したドキュメンタリーのノミネーションは下記5作品。

Free Solo
RBG
Three Identical Strangers
Minding the Gap
Won't You Be My Neighbor?

お気づきでしょうか。先月一番重要なPGA(全米製作協会賞)を受賞したWon't You Be My Neighbor?と、今日DGAを受賞したThree Identical Strangers を除いた3本は、ノミネートされてるんです。つまり、その3本の中のどれかがDGAを獲ったら、私は長編ドキュメンタリーをその作品にしようとたくらんでいたわけです。なのに、よりによって、なんでThree Identical Strangers なのよ?!!これならまだ、Won't You Be My Neighbor? が受賞した方が、気持ちのザワザワがなくて済んだわ。

というわけで、今年の長編ドキュメンタリーはどれにしていいのか指標を失ったわけで、ロジックがないので勘に頼る以外にありません。そうなってくると自信は全くないわ。今の気持ちとしては、Free Soloにしようかと思ってるんだけど、RBGは、題材になっているルース・ベイダー・ギンズバーグという女性最高裁判事自体がアメリカではとても人気者な上、90歳超の彼女が授賞式に現れるんじゃないかなんて言う噂もたっているから、彼女が来るなら絶対それに受賞させないと、というロジックが働く可能性もあり。あと3週間、そのあたりの情報を仕入れつつ、最終的にどっちにするかは決めたいと思います。Minding the Gap の可能性もまだ捨ててないよ!