2019年10月22日火曜日

今年のオスカー主演男優賞、ジョーカーよりもこっちの方が気になる

お久しぶりです。既にオスカープレシーズン開幕しておりますが、ここ1ヶ月ほどラグビーワールドカップに夢中でニュースチェックを怠っておりました。すみません。近所に住む國學院久我山→帝京大学ラグビー部出身のラグビーエリートと共に観る試合は格別で、印象に残るのは序盤のオールブラックスVS南ア戦、先日のフランスVSウェールズ戦、そしてなんといっても日本VSスコットランド戦辺りですね。連日良いものを見せて貰って感激です。実際に観戦に行ったオールブラックスVSナミビア戦はあまりの力の差にちょっと切なくなりましたが。

で、ラグビーよりも面白いオスカーネタは出てこないものかしらと思っていた矢先、ちょっと興奮する記事が出てきたので久々にブログを更新することにしました。それは、ダブル主演でどちらが助演に回るかと噂されていた Ford vs. Ferrari のクリスチャン・ベールとマット・デイモンが、二人そろって主演でオスカーレースに参戦することが決まった、というものです。どちらで参戦するかというのは、その作品の配給会社がオスカーで俳優を推す際にどのカテゴリーに向けてプッシュするかを決める、と言う意味なのですが、昨今のオスカーはこの後援がない限りノミネートを受けるのはまず無理なので、配給会社のこの決断はものすごく大きい意味を持つのです。私、このトレンドが嫌いで、いつも不満に思っていたので、今回のこの英断にはすこぶる興奮しました。例えば去年の「女王陛下のお気に入り」。あれ本来はオリビア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの3人が主演とみなされるべきもので、一人が主演、二人が助演というのは正しくないわけです。でも3人が主演になっちゃうと、そこで票が割れてしまって受賞の可能性が減るから、配給会社は勝手な感覚で主演、助演を分けるわけです。絶対おかしい。このカテゴリーの混同はいつから正当化されるようになったのか。私はこれまたハーヴィ・ワインスティンが始めたと思っています。2002年度のオスカー、「ギャングオブニューヨーク」であまりにもすごいダニエル・デイ=ルイスの演技を見たハ―ヴィは、これは主演男優賞を狙えると考え、どう考えても助演のDDLを主演男優としてプッシュ。DDLは見事主演男優賞にノミネートされます。そのせいで、正当な主演男優であったレオは全く蚊帳の外に置かれ、あの年の賞レースはDDL一色でした。最終的にDDLではなくエイドリアン・ブロディがサプライズウィナーとしてオスカー受賞したのは、あれはどう考えてもDDL主演じゃねえだろと思った投票者が若きエイドリアンを選んだからなのではないかと、私は未だに思っています。

カテゴリーの混同に違和感を覚え、心酔するDDLのノミネートですら気分が悪かったのは、私がオスカーを見始めた頃にはその混同が見られなかったからです。名作「アマデウス」ではサリエリ役のF.マリー・エイブラハムとモーツァルト役のトム・ハルスがダブルで主演男優賞にノミネートされ、エイブラハムが見事受賞をしました。エイブラハムは受賞スピーチで、「今ここにたった一つだけかけているものがあるとすれば、トム・ハルスが一緒に横にいないことだ」と、自分の受賞は彼なくしては不可能だったことを言い、大きな拍手が送られました。「テルマアンドルイーズ」の時のジーナ・デイビスとスーザン・サランドンも二人とも主演女優としてエントリーし、ダブルでノミネートされたけど、あの映画もどちらかが助演になるなんてこと考えられないですよね。ダブル主演の映画というのはよくあるものなのだから、それは二人とも主演として扱われないとフェアじゃない、と私は思います。

今年はたまたまダブル主演の作品が多く、The Lighthouseではロバート・パティンソンを主演、ウィレム・デフォーを助演として推すことが既に発表されているし、Two Popes のアンソニー・ホプキンス、The Irishman のアル・パチーノも助演に回るだろうとかささやかれています。そんな中、二人とも主演で、と決定したFord vs. Ferrari には心から拍手を送りたい。今年は主演男優も助演男優もものすごく混みあってると今から言われている中、どちらにしてもノミネートは容易ではないけど、主演での久々のダブルノミニー、私は見たいな。