2018年7月19日木曜日

カメラを止めるなを止めるな!

今年もあっという間に半分が終わってしまいました。終わってすでに18日も過ぎちゃったけど。半分終わったということは、オスカーシーズンのウォームアップを意味します。昨日今年のベネチアのオープニングはダミアン・チャゼルの新作だってニュースが出てたけど、すなわち一つ目のオスカー候補のお披露目が決まったってわけね。

あいにくこの夏はベネチアに行かずに秋を迎えそうですが、トロントには行くつもり。オスカー候補が何本見られるかしらと思いつつ、それより今の私は先週末に見たオスカーとは無縁の作品で頭がいっぱい。そう、巷で話題の「カメラを止めるな!」です。

この映画、友人に誘われて二人で見に行ったんだけど、正直なんも知らなくて。ただ、業界紙で「毎日満席」っていうニュースは流れてて、知り合いなんかも見に行ったっていうツイートしてて、話題になっていることだけはうっすら知っていた。でもそもそも邦画はほとんど見ない私なので、本当に作品の情報は知らなかったさ。

オンライン予約ができない池袋シネマロサに着いたのは上映2時間前。すでにほとんどの席が埋まっていて、結局この回も満席でした。作品が始まってしばらくは、「あ~、いろいろ趣向を凝らした自主映画なのね。でも穴だらけ」なんて思って見ておりました。後半でそれが全然違う展開を見せるとはつゆ知らず。。。

相当数の外国映画の脚本を読んできた私だけど、この作品の脚本のすばらしさには脱帽でした。伏線の回収の見事さだけじゃなくて、自主映画でしか成り立たないこのだましというか映画の成り立ち。300万の製作費で作ったとは思えない完成度の高さと、300万で作ったからこそ成立するこの作品のアイディア。これ、有名監督が思いついたとしても、有名人で作ったら同じ作品にはなりえないんだよね。それが素晴らしい。こういう映画こそ、作って当てた時の喜びはひとしおなんだろうなぁ、と、ちょっとうらやましくなりました。

劇場内は、見ている間は爆笑の渦で、終わった後には自然と拍手が起きて、私はとっても幸せな気分になりました。映画人としては、勢いのある良い作品を見ることほどうれしいことはない。こんな映画が生まれる日本の映画業界、捨てたもんじゃないね。