2014年2月27日木曜日

レオが受賞する姿を見たい

いよいよ4日後に迫ってまいりましたアカデミー賞。皆さん既にベットは固まりましたか?

先週から、ものすごい勢いで関連作品を見ていますが、最終的に「それでも夜は明ける」は未見で迎えそうです本番当日。よって作品賞をどうするかが非常に難しい。見てない作品に一票を投じるのだろうか。

さて、本日は「ウルフオブウォールストリート」を見てきました。7時に始まって終わったのが10時。つまりたっぷり3時間の作品でしたが、さすがスコセッシ。面白かった。たま~にこのシーンなげえな、と思うところがあるのは今までのスコセッシ作品と同じなんだけど、でも抜けてる時のスコセッシ映画は本当に面白い。「グッドフェローズ」見た時の感覚思い出しました。




久々にレオが、主演男優賞にノミネートされてます。このノミネートは結構サプライズだったんだけど、でも実際に作品見ると、素晴らしい演技をしています。酒と女とクスリが大好きなイケイケの賢い若者、というのは、本人そのものじゃん、と思わないでもなかったけど、熱演です。本当に素晴らしい。助演男優にノミネートされてるジョナ・ヒルも良いけど、やっぱり何といってもレオが良かった。

ちなみに、今回主演男優賞のフロントランナーと言われているのは、「ダラスバイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒーで、こちらの作品は先週末見たのだけれど、いまいちマシューに入れるかどうか、決めかねておりました。痩せたのは分かるんだけど、そして熱演も分かるんだけど、南部のカウボーイ役って、それ本人じゃん、ってこちらもまたそんな感じで。でも今日、「ウルフ」の中にちょっと出てきたマシューが素晴らしすぎて、今年の主演男優賞は彼でも良いや、って思うようになりました。レオの演技の方が私は良かったけど、ちょっとそこに賭ける勇気はないんだな。(結局勝ちたい気持ちの方が強い。)

ちなみにレオは、ノミネートされるのは今回で4回目なんだけど、本当はもっとノミネートされてて良いはずの俳優で、タイタニックの時も、ギャングオブニューヨークの時も、ディパーテッドの時も、なぜか周りがノミネートされて彼だけ無視される、不運な役回りが多かった。今回当然入ると思われてたトム・ハンクスやロバート・レッドフォードがノミネートされず、代わりにレオが入ったことは、世代交代を感じ、ようやくレオが受賞するのを見られるかも知れない、と思わず期待してしまう。アイドル的な人気があると、どうしても受賞が遅くなる傾向があるけれど(トムクルーズ、ブラピ、ジョニデ、誰も受賞経験ないからね)、レオはもともと10代でノミネートされてる演技派で、巨匠スコセッシに認められる俳優だから、今回一番のアプセットがレオの受賞だったら、なんだかとっても嬉しいなと、ひそかに期待しているのであります。(一票は入れないけどね)

2014年2月24日月曜日

いよいよ一週間後!でも絶対獲らない作品こそ見て欲しい

前回から、また間が空いてしまいました。すみません。

いよいよ今日より一週間後、3月3日はひな祭りと同時に、アカデミー賞授賞式です。まだ未見の作品が多いため、今週は大変です。見れるだけ見るよう頑張ります。

昨日、ダラスバイヤーズクラブを見てきました。マコノヘイもジャレッド・レトも素晴らしく、ジャン・マルク・ヴァレーも相変わらず力あるな、と楽しんで参りました。が、まあそのくらいかな。私の人生において何らかの影響を与えた映画かと言えば、そうではない。レトの助演男優賞は良いと思います。ぜひとも取って欲しい。マコノヘイはちょっとまだ分からないなあ。そこはネブラスカのブルース・ダーンを見てから決めたいと思います。(今週末)

さて、オスカーには必ず、「絶対獲らないけど、ノミネートに値する」と複数部門でノミネートを受ける作品があります。特に、作品賞候補が10本になった最近ではそれが顕著で、だって10本もノミネートしたら、絶対獲らないけどノミネートされたんだな、って作品があって当たり前でしょう。今回もしかりで、その一つが「あなたを抱きしめる日まで」と言う作品です。



この映画、実話をもとに、コメディ俳優のスティーブ・クーガンが脚本、助演をつとめ、ジュディ・デンチが主演の感動の物語です。ジュディ・デンチが間違うことはまずないので、「ああ、この作品は良いものになるな」と、脚本の時点で思ったものですが、出来上がった作品は、想像通り、素晴らしいものでした。

でもね、この映画が素晴らしいのは、ジュディ・デンチの力だけじゃないんです。

映画と言うのは、監督が作るもの。脚本が素晴らしくても、俳優が芸達者でも、監督が良くなければ絶対に名作にはなりません。それではこの作品の監督は誰なのか。

スティーブン・フリアーズと言う名監督です。見たことないでしょう?↓



この人、いわゆる「雇われ監督」(director for hire)で、自分で脚本を書かない、昔ながらの職人監督です。でも、本当の意味での「職人」。請け負った仕事をここまで完璧に、脚本以上のものに仕上げる人はなかなかいません。

私が初めてこの人の映画にノックアウトされたのは、1988年の「危険な関係」でした。グレン・クローズとミシェル・ファイファー、そしてジョン・マルコビッチが三角関係を繰り広げる、あの作品です。グレン・クローズの悲哀を魅せるラストシーン、男前でもなんでもないマルコヴィッチをあそこまで魅力的に映す演出、なんと素晴らしい映画だろう、と子供ながらに感動しました。ほどなくして私は、それよりも前に公開されていた「マイ・ビューティフルランドレット」と言う作品に出会います。私の人生で影響を受けた5本の一本に入る作品です。ダニエル・デイ・ルイスの魅力をあそこまで引き出せる監督はほかにいない。

2年後彼は、またしても名作を撮ります。「グリフターズ」です。3人の詐欺師たちを描いたこの作品、軽妙で爽快で物悲しくて。高校生の私は、このフリアーズと言う監督は、きっと次の作品で私の大好きなオスカーを獲るに違いない、と確信したものです。

それからはや24年。結局フリアーズはオスカー作品賞も監督賞も獲ることなく、今日に至ります。その間に彼は、15本の作品を撮っています。音楽好きの必見作品「ハイフィデリティ」や、ヘレン・ミレンを主演女優賞へと導いた「クイーン」。みんな、フリアーズの作品です。こんなに名作を残していながら、彼の名前はほとんど一般に知れ渡っていない。ほかにこんな監督がいるでしょうか。

25年来の彼のファンと言うことはさておいて、私が彼を本当に素晴らしいと思うのは、この30年間、たゆまず世の中に佳作を送り出し続けていることです。「あなたを抱きしめる日まで」の主演にして名女優ジュディ・デンチは、「監督がスティーブンだったから、何の苦労もなかった。既に4回一緒に映画をやっていて、私たちの間には話さなくても伝わることがある」とインタビューで言っています。ジュディ・デンチがこんな言葉を送る監督は、なかなかほかには居ないでしょう。

タランティーノやウディ・アレン、今回で言うならスパイク・ジョーンズとかデビッド・O・ラッセルとか、個性を主張して目立つ監督は沢山います。でも私はフリアーズこそ、監督業と言う専門職に徹した、映画史に残るべき監督だと思います。本当の意味での演出家。「あなたを抱きしめる日まで」も、今までの彼の作品に負けないくらいの名作です。ぜひ見てください。

2014年2月13日木曜日

NHK に物申す

こんばんは。

「次回はアメリカンハッスル」です。と結んだことで、次のブログがまた先になっちゃうな、と公開してから気づきました。救済措置として残しておいた(予定)に基づき、全然違う話題で進めさせていただきます。

ベルリンからの時差ぼけで、一日中デスクであくびをしたのち、「もう無理無理」と定時にするりと帰宅した私。本当の狙いは、日本人フォーカスのオリンピックの生中継を見るためです。毎年同じ時期に出張がある私は、バンクーバーもトリノもベルリンで見ることになったのですが、外国でオリンピックを見るほど歯がゆいことはない。国を挙げてのお祭りであるオリンピック、どこの国でも、そこの国の強い競技しかやらない上に、弱い選手なんて全くテレビに映してもらえないわけです。出張中私が見ることができたのは、ドイツVSカナダ、カーリング男子でした。




カーリング自体は、見れば見るほど面白いスポーツ。昨日の日本VSロシア(女子)なんて、すごい興奮で応援しました。ロシアの女子は24歳平均でみんな美人だしね。試合も素晴らしかった。でも、ドイツのおっさんがやるカーリングなんて、もちろん興味ないわけですよ。やっぱりオリンピックは、自国を応援することに喜びがあります。と言うわけで、帰国後今晩の生放送はものすごく楽しみにしていたわけ。

ところが!

8時台、中継は一つもナシ。BSですら、マンチェスターだかなんだかのサッカーの試合放送してんの。なんで???

おそらく答えは、日本で人気の競技がないから、今晩は生放送する価値ナシってことなんでしょう。でもね、オリンピックは4年に一回しかないわけですよ。どの競技も、たとえ日本人が出ていなくたって、生放送される価値があると思うの。今だって、クロスカントリー女子、とか、ショートトラック女子、とかやってるはずなんですよ。BSくらい、その中継してもいいんじゃないの?

海外でオリンピックを見た経験があるからこそ、オリンピックくらい、平等にダラダラ生中継してほしいと思う。生で見るからこそ楽しい番組なのだから。そこに日本人が出てなくても、それを見て喜ぶ外国人は沢山いるはずだから。オリンピックは、それくらい価値のあるものであって欲しい。

ところで、昨日帰国してすぐに見たハーフパイプ男子の結果。平野歩夢君の雄姿を見て思ったことは、ゆとり教育も悪い面ばかりじゃなかったんじゃないかな、ということ。先日すごい発明をした小保方さんの時も思ったんだけど、これは世代の特徴を表しているのではないかと。アルベールビルで伊藤みどりが銀メダルを取った時、彼女は開口一番「日本の皆さんごめんなさい」と言いました。金メダルを期待されていたから。ゆとり前の世代では、そういった国に対する責任とか、社会でどうあるべきとか、そういう概念を押しつけられた教育を受けたせいで、オリンピックですら国を背負って戦ってるみたいなことになってた気がする。でも、今の子たちは、良い意味で自分の目標達成とか、成長とかを追及してオリンピックに辿り着いている気がして、それって素晴らしいことじゃないですか。ゆとり教育が良かったんじゃないかな、と15歳の平野君を見て思いました。

最後に、あまりにも印象深かったので思わず載せた上記の写真の真ん中、ドイツ男子カーリングチームのおっさんJohn Jahr。この人の写真を探してたら、こんな面白い記事を見つけました。なんと彼、48歳の百万長者らしいよ!

http://www.canada.com/olympics/news/john-jahr-a-48-year-old-millionaire-curler-from-germany-savoring-his-1st-and-last-olympics

2014年2月12日水曜日

今年のベルリンは暖かかった

ブログを始めます、また明日!なんて言ってから数週間。三日坊主にすらなれませんでした。すみません。

さて、オスカーの話題を徒然につづる予定だったこのブログですが、ここのところ、オスカー以外の方が面白い話題が多くて困ります。とりあえず今日は、最近行ってきたベルリンについてちょっと書いてみようかな。

毎年、この時期に出張で行くベルリンは、ご存じドイツの首都ですが、ヨーロッパでも他に類を見ない面白い町。すべては、町が東と西に分断されていたという歴史に因るものです。ベルリンの壁が崩壊してはや四半世紀になろうとしているけど、旧東ベルリンだった地域は、やっぱり今でも東ヨーロッパの雰囲気がぷんぷん残ってて、すごく面白い。


 


近代的なビルばかりの西ベルリンに比べて、東の方は建物が全部グレーで古くて大きい。ナチスドイツの時代から変わってなさそうな文字の看板とか、とにかく「ザ・東欧」という私の中の勝手なイメージそのままの風景で、でもその一つ一つの建物に入ると、中はものすごいおしゃれなお店になってたりする。それは、東西が統合された時、お金のない東出身の人たちに交じり、ヨーロッパの新進アーチスト(たいていお金がない)が、物価と地価の安いこのベルリンに移り住んで来て、いつの間にかそこには世界中からアーチストが集まるようになったかららしいんだけど、町中にその片鱗が見えて、本当にユニークなのです。






「ベルリン」という名前自体は、ドイツ語で「熊ちゃん」みたいな意味だそうで、なので市内には、マスコットである熊のオブジェがいたるところにある。可愛い。そんなベルリン、首都なのに、日本からの直行便がありません。ま、首都なのに一番発展している都市ではない、とか、そういうことはすべて、やっぱりあの戦争からの東西分断が原因にあるわけで、そんなところでも興味深い町です。

さて、直行便がない中、今回はチューリッヒ経由のスイス航空で飛んだのですが、機内上映でようやくBlue Jasmine を見ました。今回一番受賞の確立が高い(ほぼ当確)ケイト・ブランシェット主演のドラマで、彼女の演技はいたるところで褒められてるのを読んできたけど、いやあ確かにすごかった。基本的に、彼女の演技がなかったら成り立たないような物語なので、この主演女優賞はまったくもってwell deserved と思いました。今回の主演女優賞候補5人はエイミー・アダムスを除いてみんなオスカー受賞経験がある人ばかりなので、みんな上手なんだけど、今回ケイトが演じたジャスミンと言う役は、上流階級の世相に疎いマダムと、精神的に参っちゃった数年後の彼女と言う、同じ人間が変わってしまった様を絶妙なニュアンスで演じ分けなくてはならない。その難しい演技を、ものすごい説得力で演じていて、文句なく脱帽。今年の主演女優は彼女にあげなくちゃ間違ってるわ。

と言うわけで、一応このブログの主題である、オスカーの話題に無理やり持っていったところで終わりとします。本当は、招かれて行った知り合いのアパートに、ユダヤ人が隠れてた小部屋がそのまま残ってた話とか、ソチのフィギュアスケート中継見てたらカタリーナ・ヴィットが解説だったとか、そんな話を書きたかったんだけど、ま、その辺はまたネタがなくなったら書くということで。

次回はアメリカン・ハッスルです。(予定)